俺はこういう人間だ、という夫の心理

態度や言動を指摘されたときに、『オレはオレ。俺はこういう人間だ』という男性がいます。

この手の主張をする男性の多くは、自分のやったことが正しかろうが悪かろうが、そういうことはほとんど関係なく、とにかく自分という人間を基準にして、『オレはこういう人間なんだから仕方がない』という論理で全てを押し通そうとします。

まぁ、良く言えば『信念のある男性』というふうに言えなくもないですが、問答無用の一方的な主張を貫こうとするわりには、相手を納得させられるだけの理由や根拠は持っておらず、分が悪くなってくると、『別にわかってもらおうとは思わない』とか、『話をするだけ無駄だ』などと言って、話し合いを避けようとする傾向が強いです。

そして、無理に話し合いの場に引きずり出されれば、だんまりを貫いたり、逆ギレしたりすることもあります。

『オレはオレ。わかってもらおうとは思わない』とか、『オレは絶対に認めないからな』と意固地になっている状態では、それを貫くことこそが彼の目的となっていて、負けるものかと身構えていますから、このままいくら話し合いをしようとしてもラチがあきません。

でも実は、このような態度に出る男性の多くは、本心から自分が正しいと思っているわけではなく、間違いを認めることで責められたり、自分が窮地に陥ることを内心は恐れていて、自分の理屈を鎧のように身にまとって、守りに徹しようとしているのです。

では、こういうタイプの男性と話し合いをするためには、どうすればよいのでしょうか。

ここではあくまで一例としてお話ししますが、たとえば嘘を追及しようとしたり、証拠をつきつけて認めさせようとすると、相手は攻撃されていると認識して、ますます態度を堅くしていってしまうので、まず、「私はあなたを攻撃するつもりはない」という意志をしっかりと示すようにすることが第一歩です。

そして、なぜ話し合いをしたいのかという理由を、責めるかたちにならないようにして伝えます。

たとえば、『私はあなたを愛しているし、あなたとの生活を幸せに思っている。それを失いたくないし、壊したくない。  だから、この幸せを守るために、あなたと話をしたい』といった感じですね。

つまり、責める姿勢ではなく、『守りたい』という姿勢を示すことです。

責められているという、という状態では、『認めたら負けだ』とか『まわりは全部敵だ』という意地を張った思考になりがちですが『今ある幸せを守りたい』という姿勢でいくことによって、相手の感情的な思考にブレーキをかけさせて、話しあいの姿勢にもっていける可能性が出てきます。

また同時に逆ギレ、開き直りといった態度もかなり緩和されることが多いです。

ただ、もちろんこれで100%相手が話しを聞いてくれるとは限りません。
相手の性格や頑なさによっては、それでもラチがあかないことはあります。

でも、話し合いをしようと思うあまり、家族や親戚を呼び集めて、みんなの前でなんとか認めさせようとか、決定的な証拠をこれでもかと並べて打ち負かそうとするよりも、はるかによい結果につながることが多いです。


【追記】

要は『北風と太陽』の童話のごとく、剛で剛を制しようとすれば、おたがいにぶつかり合ってますます状況は硬直してしまうけれども、剛をかわして柔で対することによって、相手の感情をおさめることができるわけです。

ただ、『柔で対する』ということは、それだけ知恵をもって相手と向き合う、ということが必要になります。

話し合いをする際にも、相手の性格、タイプをよく把握して、『私がこう言ったら、彼はこう言うだろうな』といったくらいの反応は、あらかじめ想定しておかないといけません。

そして、そのときに、自分がやってはいけないこと、不利になってしまうことも、よく理解しておくことが大事です。

 夫をカスタマイズするということ