夫婦の平等・・・法的には何が保障されているか


現在の民法においての基本的な精神は、「個人の尊厳と両性の本質的平等」です。

つまり、男も女も平等であるという考え方です。

今ではそれが当然なのですが、昔は違いました。

憲法が制定される前の、戦前の法律では、夫が家庭の支配者であり、妻はそれに従うものとしています。

妻の財産も夫が管理して、使用することができましたし、夫は家庭生活全般においての問答無用の絶対的な決定権を持っていたのです。

不貞、いわゆる浮気に関しても、以前は妻の浮気のみが犯罪であり、姦通罪として処罰されました。

しかし、戦後、憲法以下の法律には、「男女平等」の文字がいたるところに躍っています。

憲法は、「夫婦はまったく同等の権利を有し、家庭生活は夫婦の協力によって維持されなければならない」と規定しています。

極端に聞こえるかもしれませんが、たとえば住むところにしても、どちらか一方が自分の好きなところを勝手に決めるということはできません。

夫婦で対等に相談をして決めなければならないのです。

相手があくまでも反対すれば、第三者である家庭裁判所に決めてもらうことになります。

もちろん、子供の教育やしつけについても、夫婦が対等でしなければなりません。

さらに言えば、家具の配置や、ボーナスで買い換えようとするテレビのサイズ、旅行の行き先、二人で見るテレビのチャンネル、今晩の献立にいたるまで、夫婦においてなされることについてはすべて、互いが相談して決めなければならないのです。(あくまで理屈上は、ですが)

もしもあなたが、「一家の主はおれなんだから、何をどうしようとおれの勝手だ!」と奥様に主張したとしても、
それは法的な権利とはいえませんし、もちろん、その逆もしかりです。

夫婦はまったく同等の権利がありますから、一家の主が持つ権利は、同時にあなたも持っているのです。

家庭生活において、夫側であれ妻側であれ、「おれの勝手だ」「ワタシの勝手でしょ」といえることは、皆無であるといっていいでしょう。

逆にいえば、そうした法的な縛りを超えた関係こそ、夫婦というものだと思うのです。