ホスト通いする妻の浮気

 ホストというと、なんとなく軽薄でチャラい感じがしてしまうかもしれませんが、実は意外に厳しい世界みたいです。

 普通の飲食店とかで接客するのと違って、同じ店でもホスト同志のライバル関係もありますし、それだけ『お客様を気持ちよくさせるスキル』も高い人が多いです。

 妻にしてみると、イケメン(とは限りませんが)の男性に信じられないくらい大切に扱われて、それだけでも非日常の快感を酔ってしまったりします。

 しかもホストに限らずですが、水商売の仕事というのは、お客様に対して『疑似恋愛を演じる』というのも仕事の一つだったりします。

 でも、あくまでそれは仕事ですから、言い換えると、しょせんはホストにとってお客というのは、お金を持ってくるだけの存在です。たとえそこに「セックス」があってもです。

 もちろん、ホストだって人間ですから、そうやって「本気」になることもないとは限らないですが、逆にいえば、「あ、この人きれいだな」とか「自分のタイプだな」といった女性は毎日山ほど訪れるので、ホスト自身がそれに慣れてしまって、いちいち個人的な感情を深めたりしないものです。

 つまり問題は、ホストうんぬんではなく、妻のほうに、ホストに通い詰めるようになってしまった心情として何があったのか、という部分です。

 たとえばUFOキャッチャーに100円玉を投入し続ける心境と同じで、そのときだけ我を忘れてしまった、ということもありますし、日ごろの生活のなかで満たされない思いがあった、寂しかった、刺激がほしかった、ちやほやされたかった……といった思いがあったのかもしれません。

 もしかしたら、本当に『自分だけは』、彼に恋をしていたのかもしれません。

 いずれにしても、そこには必ず理由があったはずですので、その理由に目を向けることが大事だと思います。

 そして妻に対して、『正しい価値観』と『冷静に自分を見る』ということをしっかり持ってもらうことが必要なんです。

 ホストに通っているとすれば、お金も相当使っているはず。

 そのお金で、家族旅行ができたかもしれないし、欲しかった家電品が買えたかもしれません。

 でも、そのときホストにお金を払ってでも通っていたのは、それ以上にそこに求めるものがあったからのはず。

 それが何だったのかに気づくことです。

 すると、妻の気持ちを理解しようと努力する夫の姿勢が生まれます。

 そういう話しあいなら、妻も、自分自身はいったいどういう状況だったのかを考えられるようになります。

 そうなって初めて、妻自身が本心から「こんなことするんじゃなかったな」と思えるようになってきます。

 そうなれば、繰り返すこともありません。

 逆にそれができなかった、ということは、浮気以前に夫婦の中に、もっと深い問題がある、向き合えない何かがあるということも、少なくなかったりするんですよね。