放っておこう。
私は無視することに決めました。
ただ、もしやという思いも依然として消えず、メールは削除しないまま、残しておくことにしました。
それから一ヶ月くらいは、まるでなにごともなかったように、普通を取り繕った毎日が過ぎていきました。
あれからは、もうあの人からのメールも来ません。
でも、どうしても完全に意識の外に追いやることができず、疑いと不安が心を重くしていました。
これでは、私自身がいままでどおりの生活をすることができません。
はっきりさせなくては。
日増しにその思いが膨らんでいきました。
ようやくその決心を固めた私は、夕食後、思いきって夫にそのメールを見せました。
私自身、まるで気にしていないように振舞いながら、半分ふざけた感じで、切り出してみたのです。
「こんなメールが来たんだけど、知らない?」
夫はそのメールを見た瞬間、言葉につまり、息を呑んだのを、私は見逃しませでんした。
でも、ただ単に驚いただけかもしれない。
思いがけず、こんなメールを読めば、だれだって言葉をなくすはずだ。
きっと、夫は否定してくれる。
こんなものは知らないと、きっぱり言い切って、私を安心させてくれる。
そう思いました。
ほんの数秒だったと思いますが、沈黙が流れました。(続きはこちら)