浮気しているとき、脳はどんな状態か

米国ラトガース大学の人類学者 Helen Fisher 氏の研究により、人が恋愛中の脳内では、腹側被蓋野という領域が活発に働いていることがわかりました。

腹側被蓋野は、動物が本来持っている『本能』にかかわる部分です。

ここが活発に働くということは、本能的な欲求に強く突き動かされるようになります。

たとえていえば、散歩に連れていく前の犬のようなものです。

『早くいこう、今、行こう!!!』とばかりに、飼い主を引っ張る勢いで走り出してしまうような(^-^;

ただ、犬が散歩にいくのと決定的に違うのは、人間の場合、恋の媚薬ホルモンとよばれるPEA(フェニルエチルアミン)という物質や、快楽や喜びを感じさせる興奮系ホルモンのドーパミンが大量に分泌されて、自分にとって相手女性が何よりも大切に思えてしまったり、このまま妻と相手女性の両方とうまくやっていけるかも考えたりして、とにかく『現実』が見えなくなってしまうことです。

そしてPEAは、持続時間がおよそ3か月程度(個人差あり)と言われています。

これは、『浮気の初期段階』といわれている、相手に夢中になっている時期(3か月~長くて半年程度)とおおむね一致します。

つまり、浮気がはじまって数月間は、脳内ホルモンの暴走もあいまって、文字通り「相手に溺れている」状態にあるわけです。

とくに50代以降の男性の恋愛は深みにはまりやすい、という傾向もあります。

私のもとにご相談いただいた事例でも、ある有名な裁判で敏腕弁護士として活躍された先生が、自分の娘と同世代に等しい女性に夢中になってしまったケースがありました。

その方は最終的には相手女性と関係を断つことはできましたが、それほど聡明な方であっても、数か月間は心ここにあらずの状態になり、簡単な裁判で負けてしまったり、判断ミスやクレームが増えるなどして、周りからの信頼や評価も下がってしまって、お仕事においてもかなりの悪影響が出てしまった様子があったそうです。

ただ、当の本人は、自分がそういう状態にあることを自覚していなかったりしますし、そもそもそういうことを考えられるだけの思考力がないので、このままでは結果的にどういう顛末になるかとか、浮気の代償として自分が失ってしまうものや背負うことになる責任を考えるといったことはほとんどできない状態です。

そのため、いざ問いただして話し合いをしようとしても、まともな話し合いすらできない、ということも少なくありません。

ところが、半年程度経過してくると、PEAの分泌量は減少してくるので、本来の思考力も戻ってきますし、相手に対するトキメキも落ち着いてくる傾向があります。

ここが判断の難しいところで、基本的には浮気は早期に対処することが大事なのですが、無理に話し合いのテーブルにつかせようとするよりも、むしろ気持ち的に落ち着いてくる時期を見計らって、相手と別れるように話しをしたい、とお考えになる方も多いです。

また、そのほうがうまくいくケースも、実は結構あったりします・・・・・・。

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