夫と誓約書を交わしたいとき

『夫に誓約書を書かせたいのですが、どんな内容を書かせたらよいですか?』というご質問がありました。

誓約書というのは、白い紙を持っていって相手に誓約文を書いてもらう、というのではなく、あらかじめあなたが求める内容を作成しておいて、それに対して合意のうえ署名捺印してもらう、という形で作成していきます。

誓約書の書くポイントとしては、以下のような感じになります。

甲(夫の氏名)と乙(妻の氏名)は、以下の通りに合意した。

1.甲は2018年6月1日から2019年5月18日までの間、丙(相手女性の名)と親密な関係となり、メール、LINE、電話による連絡をとり、継続して複数回の密会を重ね、不貞行為に及んでいたことを認め、謝罪する。

2.甲は、丙との交際が2019年5月18日をもって終わったことを乙に誓う。

3.甲は今後一切、丙との間でメール、LINE、電話、手紙、SNS、直接の接触を含むいかなる連絡をとらないことを約束する。

4.甲は乙との合意事項に違反した場合は、金100万円を支払うとともに、乙が離婚を望む場合には、乙の求める条件をすべて承諾し、離婚に応じることを約束する。

もちろんこれは一例です。

相手がご主人ではなく、相手女性に対する誓約書でも、書き方としては同様のものになります。

ポイントとしては、相手を明確に特定する記載があること(名前、住所等)、夫と相手との間で不貞があった事実をできるだけ明確に記載すること、あなたからの要求事項を記載することの3点となります。

書面は2つ用意し、1通はあなたが保管し、もう1通はご主人に保管してもらいます。当然ながら、それぞれに署名、捺印が必要です。

なお、上記のサンプルでは触れていませんが、今までに受けた精神的苦痛に対するものとして即座に慰謝料の支払いを要求する文面を加える方もいます。

また、慰謝料の支払いがない場合は差し押さえを行うことに同意する、といった文言を加えるケースもあります。

ただし、差し押さえについては誓約書に記載したからといって、すぐに執行できるわけではありません。

流れとしては、まず誓約書を公正証書化して、「債券名義」とします。そして公証役場で、公正証書に「執行文」をつけてもらった上で、裁判所に強制執行の申立をします。

さらに、強制執行を行う前には、「送達証明書」が必要になります。これは相手が債務名義を確かに受け取ったという証明書です。

これらの手順をすべて踏んだうえで、差し押さえを実行することになります。

なお、相手が誓約書の内容に違反して法的手段を講じる際に、相手が開き直って「あの誓約書は強制的に書かされもものだ」とか「これに合意しないと訴えると脅された」という主張をしてくる場合もあります。

そのため、できれば友人、知人でも構わないので第三者に立ち会ってもらうか、話し合いの様子を録音しておくなどの備えをしておくことをお勧めします。

 誓約書の公正証書化について