不倫してるのは仮想世界のもうひとりの自分?

先日、ある男性から、奥様との関係修復に向けてご相談があり、その中で『妻との生活はリアル(現実)なのに対し、不倫はバーチャルリアリティ(仮想現実)でした』というお話を伺いました。

要は、不倫は非日常の世界。綺麗な言い方をしてしまえば、『夢の中の出来事』というわけです。

夢の中の出来事だから、現実的に妻を傷つけたり、苦しめることもないし、何も失わずに、自分の思うように都合よく女性との関係を楽しめる(はず)と思っていた、と告白されていました。

もちろん、妻にとっては、『夢の中なんて冗談じゃないわ! この苦しみは現実よ!』と思われるのは当然なのですが、不倫をしているときは、理性も思考力もなく、心ここにあらずの状態ですので、こうした『お花畑の中』にいることも少なくありません。

そんな中で、「夫は私がどれほど辛いか必死に訴えても、まったく理解してくれません」といったお話もよく伺います。

これも、夫が不倫をバーチャルリアリティ(仮想現実)的にとらえていて、妻が苦しんでいることを現実的に見れていないため、『なぜそんなに辛いのかわからない』とか『そんなに辛いなら知らなければいいのに。どうして調べたりするの?』などと、なかば本気で言っていたりします。

ただ基本的には、不倫している男性といえども、妻が苦しんでいることが平気なわけではないし、妻の存在がどうでもよくなっているわけでもありません。

むしろ、妻との『日常』はできるだけ今まで通りに維持したいと思っていますので、そのためにウソをついたり、疑われても隠し通そうとして、『日常』と『非日常』が交錯しないようにしているわけです。

ところが、はじめは『非日常』の枠の中に納まっていた不倫も、やがては現実の世界まで侵食していく結果となります。

どうして自分の思い通りにいかなくなるのか?

答えは簡単。不倫には『相手』がいるからです。

想いとしては非日常でも、相手の存在は現実としてあるので、不倫している期間が長くなるにつれて、男性の思考や行動も、少なからず相手女性の影響を受けるようになっていきます。

たとえば、相手女性が「奥さんのことよりも、私との時間を優先して欲しい」とか「奥さんと仲良くしないでほしい」「早く奥さんと別れてほしい」といった思いを抱き、それを男性に求めてくることは普通にあります。

そうした相手女性からの要求がエスカレートしていくと、男性の思考は、自分がどうしたいかではなく、相手女性が何を望んでいるかが基準となり、それをしなければいけない気持ちになって、妻への言動が変わっていってしまうこともあります。

実際、「はやく奥さんに離婚を切り出してよ!」と言われていた男性が、妻に不倫がバレて問い詰められたことをきっかけに、「彼女のいうとおりにしてあげないと……」と、相手女性が望んでいた『離婚』を切り出してしまった、というケースもよくあります。

もちろん、不倫をした夫から離婚を求めること自体、認められることではないのですが、ともあれ男性にとって都合のよい非日常が、必ずしも不倫相手の女性にとってもそうであるとは限らないし、むしろ、男性の『現実の』生活を脅かすような展開に及んでしまうことも、決して珍しくないのです。

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