よくいただくご相談の中に、『どうして男の人は、浮気しているときも奥さんに優しくできるの?』というものがあります。
このときの男性心理としては、大きくわけて二つのパターンがあります。
ひとつは、自分で浮気しておきながら、後ろめたさも感じていて、「妻にも彼女と同じように接してあげなくちゃ」と考えて、罪滅ぼしのつもりで優しくしているケース。
たとえば、相手女性に買ってあげたプレゼントと同じものを妻にも買ってきたり、相手女性と行ったレストランや旅行先に、妻も連れて行こうとするなど。
もうひとつは、浮気をカムフラージュするためや、疑われていないかどうか妻の反応を見るために、あえて妻が喜ぶようなことを言ったり、家事を手伝うなど、意識的に優しく振舞うケースです。
そして、妻の様子が普段どおりなら、「ああよかった、バレてないな」と安心して浮気を続けられるというわけです。
もちろん、もともと優しい性格の男性で、浮気してても妻に変わらず接することができる人もたくさんいますので、必ずしもこのどちらかだ、ということではありませんが、いずれの場合も、基本的には浮気によって妻との関係が悪化することは、本人は望んでいません。
よく、妻に浮気がバレたときに「私と彼女のどっちをとるの?」と聞かれて、「俺にもどうしたらいいかわからない」と答える夫がいます。
これは、突然浮気がバレて、頭の中が真っ白になっていることもありますが、そもそも「どちらかを選ぶ」ということ自体、本人が想定していなくて、妻と浮気相手はどちらも『自分が好きになった女性』であり『どちらともうまくやりたいし、失いたくない』と思っているわけです。
このように、いくら相手女性に『好き』とか『愛してる』と言っていても、基本的に、妻とはよい状態を維持したいと思っていますし、面倒くさいことになるのはご免だと思っているので、家に帰れば今までどおりに妻と接して、キスやハグなどの愛情表現やスキンシップも普通に取れます。
ただ、浮気をしているとき(特に初期の段階)は、相手女性に恋をしている状態なので、頭の中を占める割合は、6~7割は相手女性を想い、3~4割で妻を想う、という感じです。
女性から見たら、『妻に対する想いが3割って、どういうことよっ!』と思われるでしょうね。
ただ、浮気が始まって3か月くらいのときと、1年くらい経過したときでは、この比率は大きく変わってきますし、よく言われる『幻滅期』には逆に浮気相手に対する想いが沈静化して、妻に対する想いを大きく取り戻してくることもあります。
浮気をしているとき、夫の頭の中では、妻と相手女性を『同時に』思っているというよりも、むしろ交互に切り替えているイメージのほうが近いのではないかと思います。
これはたとえて言えば、二世帯住宅の一階に妻を住まわせ、二階に相手女性を住まわせている感じでしょうか。
二世帯住宅って、玄関がそれぞれ別個にありますよね。
相手女性と会って、妻のもとに帰ってくるときには、『さぁ、今から家に帰るぞ』と頭の中でスイッチを妻のほうに切り替えて、『ただいま~』と帰ってくるし、逆に、相手女性のもとに行くときには、一度玄関を出て、『さぁ、今から彼女のところに行くぞ』とスイッチを切り替えて、二階の玄関をくぐる感じです。
それぞれの玄関を忙しく行き来しながら、自分なりにちゃんと両立できている、という身勝手な自信のもとで、『家庭も壊さず、相手女性ともうまく付き合えてる。このままうまくやっていけば大丈夫だ』と思い込んでしまうのです。
なのでなおさら、夫としては外でやっていることは必死に隠すし、家の中では今まで通りに過ごそうとします。
ただ、頭の中でいちおうスイッチは入れ替えていますが、もともと比率が7:3だったりするので、妻と一緒にいても、ちょいちょい彼女のことを考えて『心ここにあらず』の状態になったり、メールやLINEが気になって挙動不審になることは普通にあります。
夫のそうした様子に、妻が気づかないはずがないのに、いつまでもうまく騙せているつもりで優しくしたりするから、妻から見たら、「不倫しておいて(しかもバレてるのに)優しくするってどういう神経?」となるわけです。