DV(ドメスティックバイオレンス)と聞いてまず思い浮かぶのには、殴る蹴るなどの身体的に受ける暴力ですね。
でも、DVは身体的なもの以外にも、さまざまな行為が該当します。
たとえば、モラハラ(モラルハラスメント)もDVの一種で『精神的DV』と呼ばれるものです。
そのほかにも、性的DV、経済的DV、社会的DVといったものもあります。
また、子どもに対する虐待も、もちろん子どもへのDVとなります。
これらの行為は、されている側がしっかり認識することが大切です。
ご相談を伺っていると、『夫がそうするのは私が悪いせいだ』と考えてしまう方もいて、「それって、DVですよ」とお伝えすると、「え?そうなんですか?」と逆にびっくりされることもあります。
以下に6つのタイプをもう少し詳しく書き出してみます。
1 身体的DV
身体的DVとは、殴る、物を投げつける、物に当たる・壊す、髪を引っ張る、首を絞める、床に押し倒す、高いところから突き落とすなどの行為です。
ほかに、殴るフリをする。包丁などを突きつける、ケガや病気になっても治療を受けさせないことも身体的DVに含まれます。
2 精神的DV
精神的DVは、モラハラ(モラルハラスメント)といわれます。
直接的に体に危害は加えないが、精神的に追い詰めたり、ストレスのかかる行為を意図的に行うことです。
具体的には、大声で怒鳴る、無視する、威圧的な態度で言うことを聞かせる、人格を否定したり、見下すようなことを言う(バカ、グズ、死ね等)
精神的DVは、身体的DVのようにあざや傷跡が残らないので、なかなか被害を訴えづらいことがありますが、PTSD(心的外傷後ストレス障害)などの精神障害と診断されれば、身体的DVと同様に傷害罪にあたります。
モラハラについては、当サイトの他のページでもご説明していますので、あわせてご参照ください。
3 性的DV
夫婦の営みを強要する、脅迫する、避妊を拒む、中絶を強要するなどの行為
これらは刑法でも禁止されている行為で、レッキとしたDVです。
4 経済的DV
夫自身は欲しいものを好きなだけ買い、好きなことにお金を使っているのに、妻に対してはギリギリの生活費しか渡さない。妻の買ったものや使い道を厳しくチェックする。必要なものを買わせないなど、経済的な公平さを侵害する行為がこれにあたります。
また、配偶者の収入や貯金を勝手に使いこんだり、配偶者が働くことを邪魔したり、強引にやめさせるなどもこれに含まれます。
5 社会的DV
社会的に隔離して、孤立させようとする行為。独占欲、支配欲によって、配偶者が自分以外を頼れなくすることなどの行為です。
具体的には、家族や友達付き合いを制限して、会わせないようにする、会社などに行かせない、携帯を取り上げるなどして、連絡を取らせないなどです。
6 子どもに対するDV
子どもを殴る、過度に叱る、肉体的な苦痛を伴う「お仕置き」をする。
配偶者を殴る様子を見せつける
子どもに配偶者の悪口を言ったり、否定させる(お母さんの言うことは聞くな、など)
子どもに危害を加えるそぶりを見せたり、脅す
(子供に対するDVについては、対象者が子どもなので、保護者として客観的に認識してください)
これらのDVは多くの場合、複合的な被害になりやすいです。
たとえば、性生活を強要され、拒んだら殴られ、大声で怒鳴られたような場合、性的DV、肉体的DV、精神的DVが含まれている状態です。