【ご相談者様より】
夫の浮気は、スマホのメールで発覚しました。
サイレントにして、画面も非表示にして、相手からのメールをわからないようにしていたようですが、私が「充電しといてあげるね」と、手を伸ばしただけでも慌てているのですぐにピンときました。
隙を見てスマホをチェックしたら、相手と交わしたメールがいっぱい見つかりました。
ただ、知り合いの弁護士に相談したところ、メールだけでは不倫の正式な証拠にはならないと言われました。
でも、せっかく得られた証拠ですから、できればなんとか利用したいと思います。
よい方法はないでしょうか。
信ぴょう性の高いメールは、十分な証拠能力を持つ
不貞行為の証拠としては、メールだけでは弱い場合があります。
これはケースバイケースになってしまいますが、基本的にメールというのは、状況を推し量る材料にはなったとしても、肉体関係があったことを客観的に証明できるものではないからです。
客観的な証拠というのは、たとえばラブホテルに出入りしている写真を撮ったとか、その現場を押さえたとか、夫自身が弁護士に自白し、供述書を作成したといったものです。
これは『裁判に通用する証拠』という前提での話ですが、単なるメール上の言葉のやりとりではなく、不倫という行為を直接的に証明するものが必要だということです。
ただし、裁判までやるのではなく、あくまで夫や相手女性に不倫を認めてもらうための証拠としてなら、メールのやりとりでも十分な証拠にできる場合があります。
特に、単なる会話にとどまらず、相手女性との関係を裏付けるような、時系列に沿った大量のやりとりが確保できている場合は、それを否定するほうが難しいでしょう。
ご相談いただく方のケースでよくあるのは、夫が新しいスマホに買い替えた際に、今までの古いスマホのメールの履歴をしらべてみたら、数か月~一年以上にわたる女性とのやりとりが克明に残っていた、というような場合です。
相手女性と親しくなって、デートの約束をして、互いに気持ちを伝え合っている内容が赤裸々に交わされていたり、中には、肉体関係に及んだときのホテルの名前や待ち合わせた時間、そのときの感想などが事細かに書かれていて、不倫を裏付ける決定的な証拠になった事例もあります。
冒頭のご相談者様の相談した弁護士さんは、『メールは証拠として通用しない』という見解でしたが、おそらく『裁判において』という前提があったのだと思います。
逆に、弁護士の中には、メールやLINEの内容でもふたりの関係を裏付けるに十分な証拠であり、ラブホテルに行った証拠などがなくても慰謝料請求ができるという見解をもっている方もたくさんいます。
弁護士の中でも、個々の証拠に対する見解は異なりますので、メールだけで慰謝料請求したいと考えている方も、あきらめず相談されることをお勧めします。
また、どうしてもメールの内容が証拠として薄いような場合は、他の証拠と組み合わせて、メールの信ぴょう性を高める、ということも大事なことです。
たとえば、夫のスマホをチェックしたら、相手女性に『来週の土曜は△△にドライブに行こう』というメールを送っていたとします。
女性との約束を守るためには、あなたに『来週の土曜は急に仕事が入った』とか『ひとりで旅行に行ってくる』と嘘を言って、その日を留守にしなくてはいけませんね。
(できればその会話は、ボイスレコーダで録音しておくとよいでしょう)
当然、あなたはそれが嘘だと知っているので、あらかじめ車にGPSを仕掛けて、ご主人のその日の行動を把握することもできるでしょう。
このように、他の証拠と組み合わせてメールの内容が実際の行動に合致していることを裏付けていけば、その女性が単なる友達ではないこと、明らかな恋愛感情のもとでデートをしたり、妻に嘘をついて会っていることなどを明確に証明できる可能性が高いです。
つまりメールによる証拠は、それ自体に法的な効力を求めるよりも、不倫の関係を客観的に分析したり、相手を問い詰める材料として用いることで、大変有効な活用ができるということです。