まずは俺を信じてくれよ、という夫

あるご夫婦のダブルコンサルティングをさせていただいたときのことです。

ご主人の浮気が発覚して、ご夫婦で話し合いをした結果、夫婦としてやり直していくことになったのですが、今も喧嘩が絶えず、週に何度も言い争いをしてしまうということでした。

ご主人「やり直すという話をしたはずなのに、妻は私のことが信じられないようで、何度も同じ話をしてくるんです。正直、またその話か?と思ってしまいます」

奥様「私だって信じたいと思っています。でも、どうしても不安が消えずに、安心したいから確かめようとしてしまうのですが、主人は疑われていると思うみたいで、、、、」

ご主人は奥様が言い終わらないうちに、『それはお前が、、、、』と言葉をかぶせてきて、正直、コンサルの最中にすら、喧嘩が勃発しそうでした(汗)

信じてほしいというご主人の気持ちは、前向きにやりなおしたいという思いの表れです。

そして、ご主人を信じたいと思う奥様の気持ちにも、もちろん嘘はありません。

つまり、お二人の思いの方向性は一致しています。

元通りの仲の良い夫婦にもどりたい。そこに異存はないわけです。

でも、信じるということは、努力や思い込みでできることではなく、心から不安が消え去り、安心できる状態になってこそ叶うことです。

私 『 奥様に信頼されるということは、ご主人の思いがしっかり届いて、奥様の心が回復された結果です。初めから無条件で得られるものではないと思います。むしろ、今大事なことは、どうしたら奥様が不安のない状態になれるのかを考えてあげることだと思います。』

内心、ご主人にとって、かなり耳の痛い話をしてしまったかな、と思いました。

でも、ここをわかっていただけないと、ダブルコンサルの意味がない。

ご主人 『じゃ、妻に信頼を望むことが間違っている、ということですか?』

『信頼を望むのが間違っているのではなく、それには時間がかかるということです。なぜ時間がかかるかといえば、ご主人が考えておられる以上に、奥様の心のダメージが大きいということなんです』

ご主人『……』

『奥様に信じてもらいたいなら、ご主人も奥様を信じてあげてください。少なくても、ご主人がやりなおしたいとおっしゃった言葉は、奥様にとって希望であったはずだし、その言葉を信じたからこそ、スタートラインに立てたはずですから』

奥様の泣いている声が電話越しに聞こえました。

ご主人も黙って聞いてくれています。

 『信じるということは、簡単なことではありません。想像以上にメンタルパワーがいります。やりなおしたいという意思の力、不安と戦う力も必要です。でも、それでも心が弱くなることだってあります。

それを分かっていただいたうえで、そういう奥様を受け止めて、一緒に時間を重ねていってあげることが、修復を決めた奥様に対する本当の誠意であり、奥様の思いにこたえることになると思います。そうやって、奥様の不安が安心にかわり、安心が信頼にかわっていくなかで、おふたりは今まで以上に強いご夫婦になっていきます。

修復するということは、そのことを信じて、お二人の思いを日々重ねていきましょう、ということだと、私は思います』

2時間ほどのコンサルティングを経て、最後にはご主人もわかってくださいました。

この方は、数年前にご相談をいただいた方ですが、今もときおりご連絡をくださいます。

もちろん、今は仲の良いご夫婦に戻られています。