父親の浮気を知った子どもが受ける影響

ご相談いただく女性の中には、『子どもには父親が浮気していることは言えないし、知られないようしています』というお話もよく伺います。

もちろん、お子さんが受けるショックや影響を考えると、その通りだと思います。

また当の夫自身も、『自分が浮気していることは、子どもには絶対に知られたくない』と思っているものです。

ただ、察しのよいお子さんの場合、父親の浮気を隠し切れなくなってくることも多いです。

お父さんの帰りが遅いとか、休日も家にあまりいないというのは、仕事だの用事だのといって、しばらくの間は誤魔化すこともできるでしょう。

でも、その間お母さんが辛そうにしていたり、悲しそうにしていたり、お父さんお母さんが一緒にいる時も、何かぎこちない。二人の様子が、何か取り繕っているように見えるとか、そのくらいのことは10歳以下のお子さんでも親が驚くほど察しますし。

そして、反抗期や思春期の年頃になってくると、浮気しているお父さんに対しても、それを知ってて何もいえずにいるお母さんに対しても、どちらも強い不満や憤りを感じるようになり、ひきこもりや不登校、非行や自傷行為に発展するケースもあります。

そんな子どもに対して、正論をぶつけて諭そうとしても、子どもは子どもの目線でしかものを見れませんから、なかなかそのあたりのお母さんの心情を理解するには至らず、『自分には厳しくしつけようとするくせに、当の親たちはなんなのさ?』と理不尽さを感じて、親を拒絶するようになるケースもあります。

「そんなに大げさな」と思われる方もいるかもしれませんが、ご相談いただく方々の中からは、実際にこうした事例も寄せられています。

ただ、一方でお母さんを慰め、励まし、支えようとする子どもたちがいることも事実です。

特に高校生以上になってくると、逆に母親の相談相手になったり、実際に父親と話をして、浮気をやめさせるところまで行動を移していくケースもあります。

(私のご相談事例でも、浮気相手から父親を取り返した娘の記録としてご紹介しています)

子どものいうことはいつも直球で、ある意味、容赦はありません。

父親としてその声を無視することができず、子どもに説得されて相手女性と別れる決心をした事例はたくさんあります。

もともと子どもと不仲という場合はこの限りではありませんが、子煩悩な夫、子供と仲のよい関係を築いている夫の場合は、たとえ相手女性に夢中なってしまうことがあったとしても、子どもとの関係まで壊してしまうことは本意ではなく、冷静な思考力が戻ってくれば、子どもに嫌われるリスクを負ってまで相手女性を追いかけることは少ないです。

それから、たとえ今現在、浮気をしている男性でも、子どもにとって恥ずかしくない父親でありたいという自覚がまったくなくなっているわけではありません。

子どもにはよい顔をしたいし、軽蔑されたくないし、慕われていたいと思っています。

とはいえ、浮気している自分が父親としてどうなのか。

たとえば子どもに『ウソをついてはいけないよ。人に迷惑をかけてはいけないよ。約束は守りなさい。お母さんを大事にしなさい』と諭すべき立場の自分が、このありさまでいいのか?

父親として、どの顔で毎日子どもと接したらいいのか。

中には、お子さんから『父さん、どうしちゃったんだよ?どうして母さんをそんなに悲しませるの?僕たちのことより、あの女の人が大事なのかよ!』と涙ながら訴えられて、子どもの言葉に我に返り、父親としての自分を見つめ返すことで、浮気を終わられることができたケースもあります。

子どもさんの必死さが、お父さんの目を覚まさせた、といえば美談に聞こえますが、自分の浮気という行為に子どもを巻き込んでしまったことは、家族を守る立場の父親として猛省すべき点であるということは言えると思います。