男の離婚:妻に面接交渉権を認めさせる


☆相談事例☆

私は現在別居中の妻との離婚調停中です。

妻は4歳になる娘の親権を強く主張し、私も弁護士との相談の結果、親権者を妻にすることを同意したのですが、妻はわたしが娘を力ずくで連れ帰ってしまうのではないかと不安がり、娘と私との面接交渉を拒否する構えでいます。

離婚調停中の子と別居している親の面会や、親権者でない親が子供と会う際の頻度というのは、どのくらいのものが標準的なのですか。

また、妻に私の面接交渉権を認めさせるには、どうしたらいいですか


★回答・解説★

離婚調停中の場合や、離婚後に親権を有していない場合を問わず、別居している親と子の面会頻度は、およそ次のとおりです。

月に1回くらい・・・・・28%
月に2回くらい・・・・・13%
2ヶ月に1回くらい・・・・9%
1年に1回くらい・・・・・8%

それ以外は、特に頻度を決めていない場合がほとんどです。

また、離婚後、親権者でない親と子の間の面接交渉についての調停条項は、月に1回これを行うと定めている場合が約20%を占めるほかは、調停条項上、特に回数を定めない場合が約50%を占めています。

これは離婚調停中、あるいは離婚後の子の引渡しについて直接強制が認められていないように、面接交渉についても、仮に調停条項等で頻度を定めたとしても、子を手元に置いている親がその頻度の定めに対して違反した場合にも、直接的な強制力が及ばないことが起因しているようです。

離婚調停中はともかく、離婚調停成立後、調停条項で取り決めた面接交渉の頻度を相手方に遵守させるには、違反1回に対して罰金を徴収するといった間接強制かもしくは、面接交渉の頻度についての約束の不履行を不法行為として損害賠償を請求するという方法しかありません。

しかし、基本的には、月に1回程度の親と子の面接交渉は、親権を持っているほうも持っていないほうも、お互いに許容しあうという姿勢が望ましいです。

最近は宿泊面接、つまり、1泊又はそれ以上の宿泊を伴う面接交渉を認めるように調停条項で定める例も増えています。

また、離婚後、いきなり当事者同士だけで面接交渉を行った場合に、子の連れ去りの不安があると一方当事者が強く主張する場合には、調停中、すなわち、最終的に面接交渉の可否や頻度を決める前に、まず家庭裁判所で何度か試験面接を重ねることをお勧めします。

これは、家庭裁判所内の、壁の一部がマジックミラーになっている部屋で、子を連れ去るなどの疑いがあると一方当事者から主張されている他方当事者が子と面会を行い、その様子に疑念を持つ一方当事者及び家庭裁判所調査官が観察することを幾度か重ねることによって、一方当事者の疑念を晴らしていく方法です。

家庭裁判所の内部という非常に安全な場所での試験的な面接であるという制約があるのとはいえ、このような試験面接を積み重ねることにより、他方当事者に対する疑念を晴らしていくことに一定の効果があります。

また、試験面接において特に問題が生じなかったにもかかわらず、なお他方当事者と未成年子との面接交渉を頑なに拒む一方当事者に対し、裁判所が面接交渉の履行勧告を出す理由の一つになったり、裁判所が一定頻度の面接交渉を認める審判を下し、なおも面接交渉の履行を拒む一方当事者に対し、違反1回に対していくらを支払わせるという間接強制が認められたり、審判条項の不履行が不法行為を構成するとして他方当事者に対する損害賠償が認められることにもなります。