モラハラ・ある日突然豹変する夫

モラハラには、日常的にそういう言動が絶えない人と、何かのきっかけでモラハラ化してしまう人がいます。

私がご相談いただくケースでは、ある日突然夫が豹変して、威圧的な態度で理不尽に責められた、という方も少なくありません。

たとえば、東京都のA子さん。

「夫は、仕事の帰りが遅いときにはいつも『今日は遅くなるから夕食はいらないよ』といってくれました。

ところがある日、そう言って出て言った夫が、思いのほか早く帰ってきました。

食事はいらないと言われていたので、夫の分は用意しておらず、慌てて簡単なおかずを作って食卓に並べたら、『ふざけるな!こんなもん食えるか!』と怒鳴られてしまいました。」

言うまでもないことですが、A子さんには何の落ち度もありません。

ご主人が自分で夕食はいらないと言って出ていますし、早く帰ることになったなら、一言メールなり電話なりで連絡して、食事の準備をしてもらえばよいのですし、文句を言うくらいなら外で食事を済ませてくればよいのです。

ところが、自分が理不尽な行動をしつつも、まるで許しがたい仕打ちを受けたように妻を責めたてる……突然豹変するモラハラ夫の典型的な行動です。

でも、A子さんのご主人は普段はとても穏やかで、優しくもしてくれるそうです。

それなのにどうして突然、これほどまでに豹変してしまうのでしょうか。

怒りというのは、心の中でスイッチが入る『瞬間』があるものです。

どこでスイッチが入るかは、その人の性格や人格的に成熟しているかどうかにもよりますし、置かれている環境によっても違ってきます。

たとえば職場で理不尽な扱いを受けてたり、夫婦の間で溜まっている不満があったり、情緒不安定でやたらとイライラするなど、ストレスの多い状況が重なってくると、普段なら気にならないような小さなきっかけで怒りのスイッチが入り、爆発することがあります。

それが『怒鳴る』『大声で叫ぶ』、人によっては『殴る』『物を壊す』などの行為につながっていくのです。

さらに、自分でも理不尽なのはわかっているけれど、自分よりも弱いと思える立場の相手に対して、わざと相手が傷つくようなことを言ったり、威圧的に責めたりして、自分のストレスを発散しようとすることがあるのです。

実はこれは夫婦間に限らず、職場の部下やお店の店員、タクシーの運転手、駅員や警備員に対しても同様な言動が見られる場合があります。

週末や深夜の駅のホームで、駅員さんに暴言を吐いたり、威圧的にふるまう男性を見かけることがありますが、あれなんかはまさにそれです。(酔った勢いというのもあるでしょうけどね、、、)

さて、これがモラハラといえるのかどうかは、あくまで『言われた側の意識』によります。

たとえば、夫婦喧嘩でエキサイトしたり、売り言葉に買い言葉で言い合いになったときに、『その言い方はモラハラよ!』といわれたら、それはモラハラになりますし、逆に、いくらモラハラ的な発言があっても、言われた側が気にしなければモラハラにはなりません。

また、言っている側も、相手に指摘されなければ、自分の言動がモラハラだとはわからないことも多いです。

ただ、本人にモラハラの自覚があるかどうかはさておき、心療内科や精神科などの専門分野においては、モラハラはDVと同様、自己愛性人格障害という見方をします。

中には、「モラハラは人格障害なので一生治りません」と断言する専門家もいます。

でも、お電話くださる男性の中には、妻にモラハラだと指摘されて、自分の言動を改めようと努力している方々がたくさんいることも事実です。

そういう男性は、少なくても一生治らないような人格障害者ではないと私は思います。

つまり、どこからがモラハラで、どの段階から人格障害で一生治らないのか、その線引きはとてもあいまいで、グレーな部分が多いです。

それによって、夫婦としてやっていけるのか否か、妻として夫とどうやっていけばいいのかも判断が分かれるところがあると思います。

いずれにしても、夫婦としてやっていくのであれば、いかに夫の言葉や態度に振り回されず、自分のメンタルを保っていくかが、たいへん大事なポイントになってきます。

私のもとには、夫のモラハラで苦しんでこられた方からも多数ご相談が寄せられており、状況が改善されている方もたくさんいらっしゃいます。お悩みの方は一人で悩まず、お電話ください。

 

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