離婚に伴う養育費の支払い義務

☆問題事例☆

私の夫は、離婚の際に、私が6歳の息子の親権者となることを合意しています。協議離婚の場合、子供の養育費の取り決めはどうすればよいのでしょうか。

また、養育費は、子供が何歳になるまで支払ってもらえるのでしょうか。

★回答・解説★

養育費の決め方としては、協議離婚が離婚の9割ということもあって、当事者の話し合いで決めることが多いです。

お互いの収入や財産、これまで子供にかけた養育費の実績、これからの見通しなどを考慮して協議決定してください。

この際には、月々の養育費のみではなく、子供が進学する毎に増額する金額、入学金等(授業料・教科書代・制服代等を含む)、大きな病気や事故、その他予見不能の大きな臨時出費がある場合には、双方がどのように費用を負担するかといった内容も最初から明記しておいた方が良いでしょう。

養育費についての取り決めは口頭でも有効ですが、あとで支払いが滞ったりしたときのために、公証役場で、「約束を守らない場合は強制執行をしても構いません」という文言をつけた公正証書を作成しておけば、万が一のときにも裁判をしなくても、公正証書を債務名義(強制執行力のある書面)として支払い義務者の給料を差し押さえるなどの強制執行が可能となりますので、養育費の支払い確保のために、必ず作成しておくことをお勧めします。

また、相手がこうした取り決めに応じようとせずに、あれこれと抵抗を示し続けるようであれば、むしろ協議離婚をやめ、家庭裁判所の離婚調停に持ち込む方法も考えられます。

この場合は、当然調停調書が作成されます。調停調書は公正証書同様に強制執行力を持つ書面です。

書面の作成費用は公正証書よりも安く作成できるので、費用に余裕のない方は、あえて調停で取り決めを行うという考え方もあります。

なお、家庭裁判所の離婚調停が不成立の場合には、さらに家庭裁判所に離婚・養育費支払いを求める裁判を提訴します。

養育費の争いについては、実際に子を育てる親権者(=監護者)の請求であれば、これから離婚する人であれ、既に離婚しているが養育費がもらえずこれから請求する人であれ、調停・審判では殆ど勝つと言ってよいでしょう。

但し一方で、「無い人からは取れない」という現実もあります。家裁で養育費の支払いを約束、調停調書を作成したが、相手が貧乏・無職無収入で回収できないという例も多いです。

なお、離婚後でも養育費を決めることは可能ですが、離婚後に養育費を決めるのは、なかなか難しいので離婚する前に養育費を決めることが大切です。

どうしても離婚したいからといって、養育費を決めない、あるいは養育費を支払わないという約束はお勧めできません。