夫婦のコミュニケーションを回復させるコツ

夫婦のコミュニケーションを回復させた事例として、千葉県のC子さんのケースをご紹介します。

子さんは、8歳と5歳のふたりのお子さんのお母さんです。

最初のお子さんの夜泣きがひどく、またご主人の仕事の帰宅が毎日深夜になってしまうこともあって、ご夫婦で話しあって、お子さんが1歳のときに寝室を夫婦別々にした経緯があります。

その後、朝早く出勤して夜遅く帰ってくるご主人と、育児でくたくたになっているC子さんの間ではしだいに別々の生活リズムが習慣化して、夫婦の会話もほとんどなくなり、必要最小限の用事や予定を伝えるだけの状態になったそうです。

そしていつしか、『夫婦なんてこんなものだ』と心のどこかで思うようになっていました。

ところがある日、C子さんはテレビで見た不倫の話題がなんとなく気になり、インターネットで検索していたときに私のサイトを見つけてくださり、このままじゃ夫が浮気してしまうのではないかという不安に駆られてお電話くださいました。

寝室が別々というのは、夫婦関係が冷めていく要因のひとつと言われています。

子どもの夜泣きなどいろいろな事情で仕方なくということもあると思いますが、寝室を分けてしまうとどうしても互いのスキンシップがなくなりますし、また会話もなくなってしまいがちなので、やはり夫婦円満のためには、できるだけ寝室は一緒にして、たとえ5分でもいいから肌が触れあうなかで互いを感じながら寝るのがよいのです。

やむをえず寝室を別にするご夫婦は、そのぶん休日など時間が取れるときには、意識的にコミュニケーションをとったり、スキンシップをはかるようになさってくださいね。

さて、C子さんご夫婦の場合、『おはよう』『おやすみ』の声すらかけなくなっている現状があったため、冷えてしまった夫婦関係を取り戻すことは簡単ではありませんでした。

そこで、まずはコミュニケーションのベースとなる日常の会話を少しずつ取り戻していく必要がありました。

幸い、お子さんの夜泣きもなくなり、C子さんのリズムをある程度ご主人にあわせることが可能になってきた状況もありましたので、私はまず、C子さんには毎朝、ご主人が仕事にいくより少しだけ早く起きて「おはよう」と「いってらっしゃい」の声掛けを14日間以上続けていただくことをご提案させていただきました。

すると、最初はご主人は「急にどうしたの?」とか「もっと寝てればいいのに」と、C子さんの様子に怪訝な感じを示していたようですが、やがてC子さんの『いってらっしゃい』に対して、『行ってきます』と言ってくれるようになったそうです。

ただ、この段階ではまだ、C子さんの声掛けに反応しているだけで、ご主人自身から話かけてくる状態ではありませんでした。

そこで、14日間を過ぎたころから、無理のない範囲で、会話に『感情』を加えていくことをお願いしました。

たとえば、『おはよう、今日はいい天気だね』とか『おはよう、昨日はよく眠れた?』といった感じで、『おはよう』に何かひとことを加えて声をかけるだけでも、言葉に温かみを添えることができますし、事務的、機械的な感じがなくなっていきます。

また、お子さんのことを話題にしたり、次の休日の過ごし方を相談するなどして、「うれしい」とか「たのしみ」といった肯定的な感情を伝えることも効果的です。

こうしてC子さんは、およそ1か月目でご主人との会話を取り戻し、数年ぶりに二人で映画を観に行ったときには、ご主人は照れながらも、C子さんと腕を組んで歩いてくれたそうです。

C子さんはそれから、ご主人が仕事に行く前にはハグをすることを習慣にしました。

すると、次第にC子さんよりも先に、ご主人がC子さんの背中に手をまわしてくれるようになったそうです。

そして、ご主人は仕事の帰宅時間についても考えてくれて、以前よりもかなり早く帰ってきてくれる日が増えたということです。

私は、あらためて、ご夫婦が寝室を一緒にされるようにご提案しました。

C子さんはご主人と話しあってくださって、それからはご家族で一緒の寝室で寝るようにされたところ、それまでは、ちょっとしたことでよく癇癪を起こしていた息子さんの情緒がとても安定してきて、癇癪もほとんどなくなり、笑顔を見せることがとても多くなったそうです。

C子さんは、『子供にとって、パパとママの関係はほんとうに大事なんだとつくづく思いました』とおっしゃっていました。

実は、こうした事例は決して珍しいことではありません。

実際に、10年にわたり家庭内別居同然だった方でも、以前のような仲のよい夫婦関係を取り戻せたケースもありますので、お悩みの方はあきらめずにご相談ください。

 

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